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塗料は【半製品】外壁塗装と屋根塗装、塗料の乾燥時間はどれくらい?
屋根塗装や外壁塗装を行った際、その塗料が乾くまでそれなりに時間が掛かることはご存知だと思いますが、具体的な時間までは分からないという方がほとんどではないでしょうか。屋根塗装や外壁塗装では下塗り、中塗り、上塗りと重ね塗りをする際に塗料をある程度まで乾燥させないと、耐用年数が極めて短くなってしまうのです。半製品である塗料をしっかり乾燥させて重ね塗りし、完成品とするのも塗装職人の仕事です。
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見た目の仕上がり、性能、耐用年数と全てに影響する塗料の乾燥時間
外壁塗装や屋根塗装、その仕上がりを決めるのは高圧洗浄などの下地処理と言われています。その他の重要な要素として塗料の乾燥時間も大きく影響していることをご存知でしょうか。
下塗りを終えてから中塗りを開始するまで、中塗りを終えてから上塗りを開始するまで、それぞれの乾燥時間で見た目の仕上がり、性能、耐用年数と、乾燥時間次第ですべてが変わると言っても過言ではないのです。
塗料の乾燥時間はその製品ごとに違い、各メーカーではカタログや仕様書、施工手順書などにその時間を明記しています。この乾燥時間を守り、正しい施工方法で作業してはじめてメーカーが想定している性能を満たした仕上がりとなるのです。
塗料をつくるのはメーカーですが、その先の塗るという工程に関してはすべて業者が行うことになります。半製品と呼ばれる塗料を完全な製品にできるかは乾かす時間も大いに影響してくるのです。
メーカーが規定している塗料の乾燥時間(日本ペイント・パーフェクトシリーズの場合)
※日本ペイントパーフェクトシリーズカタログpdfより引用
本来、あってはならないことですが、業者の中にはこの乾燥時間を守らないところも存在します。やたらと忙しそうに作業している業者、お客様にはとっては一生懸命、働いてくれているように見えるかもしれないが、ただ単にその現場を早く終わらせて、次の現場に行きたいだけかもしれません。
「私の家はしっかりと塗ってくれたのだろうか」と後々、不安にならないためにも塗料の乾燥時間の目安は知っておいた方がいいでしょう。
乾燥時間が足りないとどういった不具合が起こるのか
現在の塗料は極めて優秀で、次の重ね塗りまでの乾燥時間をしっかり守らなくても塗った直後に不具合が出ることはありません。それどころか、かなり専門的で化学的な分析をしない限り、乾燥時間をしっかり守った場合の塗り替えと区別することも難しいでしょう。
耐用年数が約10年の塗料なら、その違いが出てくるのは数年後とされています。
塗った直後には分からないから、守らない業者も出てくるのです。半製品を完全な完成品にしないままで済ませてしまう業者もいるということを忘れないでください。
乾燥時間を守らなかったために起こった不具合の数々
1. 急激に色褪せてきた・艶がなくなってしまった
2. 想定されている耐用年数の半分程度しか経過していないのに水切れが悪くなった
3. 塗り替えて数年しか経っていないのに外壁が汚れやすくなった
4. 塗膜にひびが入りはじめた・剥がれ始めてきた
一見すると、これらは経年による劣化でも起こる症状です。立地的に厳しい環境だから、耐用年数を待たずにこうなってしまったのか、施工に不具合があったからこのような病状が出ているのか、それを判断するのはほぼ不可能なのです。
塗料の耐用年数に見合った保証をつけていない業者はちょっと危険と言えそうです。
乾燥時間を決めるのは主に温度
重ね塗りができるまでの乾燥時間は温度によって数時間から24時間と
大きく変化します
前述のように塗料の乾燥時間はそれぞれ製品ごとに異なり、施工した日の温度によっても大きく変化します。
夏のように気温が高い時であれば数時間程度、冬のように気温があまり上がらない時は約1日とかなりの差があるのです。「外壁塗装は春から秋が向いている」と言われる由縁は気温との関係のことも含んでいます。
夏だったら、作業する人数にもよりますが、1日で下塗りと中塗りを終えることも可能です(建物の大きさにもよります)。逆に冬であれば、1日1工程、下塗り工程なら下塗りのみ、中塗りなら中塗りのみといった作業になります。
気温5℃未満だったり湿度85%以上の時は不具合が出る可能性が高いので、塗装を行わないということも覚えておいてください。
下塗り・中塗り・上塗り、それぞれで必要な乾燥時間
それでは実際に、代表的な塗料のそれぞれの工程でどれだけの乾燥時間が必要なのかを見ていきましょう。塗料が水性、1液型溶剤、2液型溶剤でも乾燥時間は違うのか比較してみたいと思います。
外壁塗装は窯業系サイディングで水性塗料と1液型溶剤塗料、屋根塗装はスレート(コロニアル・カラーベスト)屋根で2液型溶剤塗料という条件にします。気温は23℃で塗料は日本ペイントの人気のパーフェクトシリーズにしました。
パーフェクトトップ(水性)で外壁塗装
ファインパーフェクトトップ(1液型溶剤)で外壁塗装
ファインパーフェクトベスト(2液型溶剤)で屋根塗装
いずれも3時間以上ということがカタログなどに明記されています。これは覚えやすいですね。実は違った種類や製品でも乾燥時間が同じなのは、メーカーの努力によるものなのです。外壁の種類が違えば、使う塗料も違うわけで、慣れていない塗料を使うと施工ミスも起こりやすくなります(もちろん、プロとしてあってはならないことですが)。こういったことを防ぐためにメーカーではさまざまな研究をしているのです。
日本ペイント・パーフェクトシリーズの規定乾燥時間
※日本ペイントパーフェクトシリーズカタログpdfより引用
下塗り後、中塗り後、次の塗装まで時間をかけすぎてもダメ
ここでファインパーフェクトベストに注目してみましょう。下塗りと中塗りの工程では「3時間以上、乾燥させたら7日以内に次の重ね塗りをしてください」となっています。
これは乾燥させすぎたらダメというよりも、密着力の高い塗料の場合、次の工程までに時間をかけすぎてしまうと埃や塵などが付着してしまって塗装に適さなくなるという意味合いが強いのです。
日本ペイント・ファインパーフェクトベストの規定乾燥時間
※日本ペイントファインパーフェクトベストカタログpdfより引用
塗料は「塗って終わり」ではない半製品
乾燥を待つのも仕事、養生を剥がし終わるまでが工事です
塗料は外壁や屋根に塗られて、乾燥し、塗膜によって外壁や屋根を保護するのが目的です。塗られて、乾燥し、塗膜が形成されて、建物を保護してはじめて完成と言えるのです。目的を果たしていない塗料の状態、メーカーから出荷されたままでは半製品でしかないのです。
完成させるまでの過程、下塗りを終えて中塗りを行うまでの乾燥時間、中塗りを終えて上塗りを行うまでの乾燥時間、これらは極めて重要な時間と言えるでしょう。ましてや、乾燥時間だけでなく、次の重ね塗りまでが『○日以内』と決められている塗料もあるくらいですから、その重要性は相当なものです。
外壁塗装や屋根塗装は塗料の乾燥時間以外にも、希釈率・配合率(2液型塗料)・ポットタイム(2液型塗料)と管理することが多く、この他に天候、温度や湿度も気にしなければなりません。
業者の仕事に対する誠実さや実直さ、経験と知識に頼るところが大きいのです。半製品に優良な業者の技能が加わって、はじめて完全な完成品となるわけです。
乾燥時間も守らない業者で工事が完了したとしても、不完全のため、寿命が短い完成品しか残らないでしょう。
塗料の乾燥の段階による呼称
塗膜の乾燥の度合いには段階があり、それによって次の工程に進めるかどうかの判断をします。
3段階、または4段階で示されるのですが、ここではより細かく乾燥状態を表すために4段階のものを紹介します。
[第1段階]指触乾燥
指の腹(爪ではないことに要注意)で塗装面に軽く触れたとき、塗料が付着しないごく初期の乾燥状態。この段階での重ね塗りは不可。
[第2段階]半硬化乾燥
塗装された面を軽く擦っても、跡がつかないくらいに乾燥している状態。重ね塗りが可能な状態。
[第3段階]硬化乾燥
指の腹(爪ではないことに要注意)で塗装された面を圧迫しても、指紋が塗膜につくことがない乾燥状態。表面だけでなく、塗膜内部でも大分、乾燥が進んだ状態。
[第4段階]完全乾燥
文字通り、塗装された面の乾燥が表面だけでなく、塗膜内部まで進み、完全に乾いたと言ってもよい状態。酸やアルカリといった薬品などに対しての耐性も発揮される。
本当の乾燥までは約半年から1年かかる?
日本ペイントのサーモアイシリーズや脅威の耐用年数を誇るスーパーセランシリーズの光沢保持率(塗装された面に対して光を当て、その反射率を計測する)を見てみると面白いことが分かります。何と、塗装完了直後よりもその1年後の方が光沢保持率が高いのです。
メーカーでは「スーパーセランシリーズは完全硬化までには約6ヶ月かかり、この期間中は汚れやすく、光沢も微妙に劣る」とアナウンスしています。
日本ペイントからの公式アナウンスはないものの、同様の現象が起こっているのではないでしょうか。「塗装が真の力を発揮するのは塗られてから1年後」という塗装業者もいます。現実にそういったデータが存在するのですから、面白い話です。
知っておきたい塗料の乾燥のメカニズム
洗濯物が乾くように水分(溶剤)が蒸発して乾燥する塗料もあれば、それに化学変化を伴って塗膜を形成する塗料もあります。
外壁塗装や屋根塗装に使われる塗料の乾燥のメカニズムは主に「融着乾燥」と「重合乾燥」です。
融着乾燥
水と油(溶剤)、両方に親和性を持つ物質はエマルジョンと呼ばれ、均一に分散する性質を持っている(代表的なエマルジョンである牛乳やマヨネーズなどのように水と油も均一に分散する)。塗装されて水分や油分が蒸発しはじめると、エマルジョン同士が融着して塗膜を形成する。
重合乾燥
2液型塗料に見られる乾燥の仕方。硬化剤が塗料に加えられることにより、塗膜となる樹脂の分子が化学反応を起こして結合し、塗膜を形成する。樹脂の分子はただ結合するのではなく、結合して分子量の増えた新たな化合物となるので強固な塗膜の形成が可能。
下塗り、中塗り、上塗りといった各塗工程に入る朝、職人さんから「今日の天気は晴れで気温が25度くらいですから、南面は▲▲時間くらいで乾きます、明日は予定通り上塗りに入れそうですね!」と声をかけられるのは天候や塗料の特徴といった科学的な根拠があってのことなのです。
また数日に渡って行われる塗装工事ですから、進捗状況が予想できると気持ちも楽になるかと思います。
街の外壁塗装やさんでは塗料や天候に則った進捗管理や乾燥時間の管理はもちろん、お客様へのご報告など工事期間中、安心してお任せいただけるよう配慮をさせていただき工事を進めさせていただいております。
工事期間中に気になる事がありましたら何なりとご質問ください。
中塗り・上塗り、次の重ね塗りを行うまでに充分な乾燥時間を取らないと不具合が起こりやすくなります
充分な乾燥時間を取らな買った場合、色褪せが起こったり、艶がなくなったり、想定される耐用年数よりも短い期間で劣化します
中塗り・上塗り、次の重ね塗りまでの乾燥時間は温度に大きく左右されます
下塗り・中塗り・上塗り、それぞれで必要な時間は塗料ごとに違います
人気のパーフェクトシリーズの乾燥時間は気温が23℃の場合、水性・1液型溶剤・2液型溶剤、いずれも3時間程度です
下塗り後の中塗り、中塗り後の上塗り、次の重ね塗りまで時間をかけすぎるのもNGです
乾燥の段階別にそれぞれ呼称があります
本当の乾燥までは約半年から1年かかるというデータも存在します
外壁塗装や屋根塗装に使われる塗料は融着乾燥や重合乾燥で塗膜を形成します